Lionel Richieのソロ2作目にして最も成功し、彼に不動の人気をもたらしたアルバム。ポップバラードのPenny Loverやカントリー調のバラードStuck On Youなど、ソウルから離れた作風も多いが、カントリーなど聴かない私でも好きになって何度も聴いてしまうような、普遍的なメロディーのセンスには脱帽。6曲目のThe Only OneはなんとDavid Fosterとの共作だが、一流のヒットメイカー同士、サウンドを潰しあうことなく調和しているのがすごい。
Thursday, December 26, 2024
Lionel Richie - Can't Slow Down (1983)
Sunday, December 22, 2024
David Foster - River Of Love (1990)
Listen (Grown-Up Christmas List)
(Full Album)
今年のクリスマスはこれ。6曲目のGrown-Up Christmas Listはいろいろなカバーが存在するが、やはりオリジナルのNatalie Coleによるボーカルが一番良い。そして、David Fosterの優雅なピアノアレンジが天才的。さらに、David Fosterの多くの楽曲でリードボーカルを担当し、絶賛するファンが後を絶たない故Warren Wiebeの唯一無二の伸びやかな歌声が、このアルバムでもいくつかの曲で聴ける。中でも彼の歌うThis Must Be Loveは、至福の時間をもたらしてくれる。
Thursday, December 19, 2024
Whitney Houston - Whitney (1987)
Whitney Houstonの2作目。世界中で大ヒットした1曲目のイメージがあまりに強いが、バラードの佳曲も多く収録されていて意外とまったり聴ける。前作から引き続きのMichael Masserの安定のバラードや、Preston Glass作の美メロもよいが、個人的なこのアルバムの白眉は、Sam Deesが作曲し、The Manhattansも83年作でやっていた2曲目、Just The Lonely Talking Againと、Kashif作のWhere You Are。特に後者は、イントロから何から私の好きな音だらけで心が躍る一曲。
Tuesday, December 10, 2024
The Manhattans - Forever By Your Side (1983)
The Manhattansによる、シティソウルの魅力が詰まった83年のアルバム。80年代NYサウンドの要となったMighty M ProductionsのMorrie Brownがプロデューサーに名を連ね、さらにダンストラックではTwennynineのSkip Andersonが指揮をとった、軽快なグルーヴ感と煌びやかなシンセの音づかいが特徴的なアーバンメロウな2曲("Crazy"と"Locked Up In Your Love")がアルバムの"顔"となっている。スローも素晴らしく、シンプルなピアノが美しいForever By Your Sideは思い入れのある一曲。続くJust The Lonely Talking Againは、人気ソングライターSam Deesの作曲で、Whitney Houstonも後にカバーした、ゆったり浸れる名曲。
Friday, December 6, 2024
Boyz II Men - Cooleyhighharmony (1991)
90年代R&Bシーンを席巻したグループBoyz II Menの華々しいデビュー作。1曲目のEnd Of The Roadは、Billboard Hot 100チャートで13週連続1位を記録した大名曲。情感豊かなバラードで、彼らの持つ圧倒的なボーカルハーモニーと表現力が際立つ、90年代のR&Bの象徴とも言える楽曲。ソウルグループThe Spinnersが74年に発表した名バラードLove Don't Love Nobodyを原曲としており、こちらもシンプルなピアノとストリングスが織りなす優美さが心に染み入る一曲。私の大好きなThe Manhattansのライブ盤Live In South Africaでも、この2曲が続けて演奏される流れと盛り上がりが最高によかった(こちら)。
Saturday, November 30, 2024
Troop - Attitude (1989)
80年代後期NJSの定番アルバム。NJSのアップ物はあまり好んで聴かないのだが、アルバムに含まれるスローナンバーは独特の空気感をもった良質なものが多い。US R&BチャートNo.1となった6曲目のAll I Do Is Think Of YouはThe Jackson 5のカバー曲。70年代甘茶ソウル風のスウィート・マナーに則りつつも、スムーズなサウンドに合わせて、Troop流の滑らかさと情感豊かなボーカルが光る。
Tuesday, November 26, 2024
The Temptations - To Be Continued... (1986)
洗練された80年代のサウンド・プロダクションと伝統的なボーカルスタイルの融合を図った、ソウルの名門グループの86年の作品。特筆すべきは、リードのAli Ollie Woodsonによるハスキーであり滑らかな深みのあるボーカル。1曲目のLady Soulは愛する女性への感謝を綴ったバラードで、コーラスを聞いてとても温かい気持ちになれる一曲(ちなみにタイトルにある"soul"は親しみの対象としての「人」を意味する)。7曲目のMore Love, Your Loveは、ファルセット・テナーのRon Tysonがリードを取る貴重なナンバーで、スウィートなボーカルと温かみのあるコーラスが素敵な一曲。
Sunday, November 24, 2024
The Controllers - Stay (1986)
80年代のソウルアルバムでこの名前を見つけたら間違いのない、Beau Huggins率いるハッシュ・プロダクションのプロデュースによる名盤。いかにも80年代NYサウンドらしいバックトラックに乗せた、本家顔負けなくらいスウィート&メロウなMarvin GayeのカバーDistant Loverに始まり、Barry Eastmondによるミディアム・メロウのStayへと続く流れが最高。ハイライトは、抜群のメロウ・フローターMy Secret Fantasy。何度聴いても飽きのこない一曲。
Wednesday, November 20, 2024
Whitney Houston - Same (1985)
80年代ブラック・コンテンポラリー・サウンドの1つの象徴となったアルバム。その歌唱力は圧倒的ながら、ソウルっぽさを前面に出さずクリアで親しみやすい歌声とモデルのようなルックスを押し出し、"全米の恋人"として瞬く間にWhitney Houstonを新たな時代のスターにした。ポップス寄りの曲が多い中、KashifとLa Laがプロデュースした1、2曲目のブラコン感覚は最高に格好良い。また、全米1位を獲得した4曲目、Saving All My Love For Youの、力強さと繊細さが絶妙に組み合わさった情感豊かな歌唱は見事としか言いようがない。
Saturday, November 16, 2024
Al Jarreau - Jarreau (1983)
グラミー賞をジャズ、ポップ、R&Bの3部門で受賞した数少ないアーティストの1人、Al Jarreauのアルバムの中でも人気の高いJay GraydonプロデュースによるAOR三部作の1つ。本作からヒットした1曲目のMornin'は、David FosterとJay GraydonによるAORの人気曲。イントロから軽やかに弾むギター・リフの元になったのは、Jay Graydonが82年にDionne Warwickに書いたFor Youという曲で、David Fosterがそれを曲に仕上げたのだそう。前年にDavid Fosterが参加したマイケルのThe Girl Is Mineにも似ている。5曲目のStep By Stepも、小気味良いハイハットの刻みがアルの畳みかけるようなボーカルを引き立てる名曲。どちらの曲も、リズムの芯がはっきりしたタイトなドラムプレイが生み出すグルーヴ感はJeff Porcaroによるもの。
Sunday, November 10, 2024
Brian McKnight - Same (1992)
90年代~現行R&Bを代表するスムーズ系シンガー、Brian McKnightの音楽キャリアの出発点となったデビュー作。デビューシングルとなったThe Way Love Goesは、80年代ブラコン・サウンドの系譜を引きながらも、新鮮な風を感じさせる一曲。Brian McKnight得意のウィスパーボイスの滑らかさが際立つバラードのOne Last Cryも素晴らしい。そしてそこから彼自身がピアノを弾くNever Felt This Wayへの流れで、彼が書くメロディの美しさに酔いしれる。秋の夜長にリラックスして聴きたい一枚。
Friday, November 8, 2024
Quincy Jones - The Dude (1981)
音楽界のレジェンドの一人、Quincy Jonesが逝去した。Michael JacksonのOff The WallやThrillerはもちろん、We Are The Worldのプロデューサー兼指揮者として名だたるスター達をまとめ上げた人望の厚さが印象深い。このアルバムは81年の代表作。3曲目のJust Onceは忘れられない名曲で、作曲はNYブリル・ビルディングの一流ソングライターコンビBarry Mann/Cynthia Weilが担当し、深みのある甘美なボーカルはJames Ingram。さらに、ピアノで招いているのは(なんと)David Foster。ピアノイントロを聴くだけで胸が熱くなるほどの美しいバラード。しなやかにうねるベースラインのグルーヴが気持ちいいBetcha' Wouldn't Hurt MeはStevie Wonderの作曲。
Saturday, November 2, 2024
David Foster - The Symphony Sessions (1987)
このブログでも過去に紹介した多数のヒット曲やアルバムのプロデュースですでに成功を収めていたDavid Fosterの作曲やアレンジの手腕が随所に光る87年作の名盤。躍動感溢れる6曲目のWinter Gamesは、'88年カルガリー冬季オリンピックの公式テーマ曲。また、静寂の中に浮かぶような音の余韻が心に沁み入るConscienceは、人の良心や葛藤を表現するような抒情的な楽曲。そしてもう一つのお気に入りは、Water Fountain。映画The Secret of My Successの中で、水飲み場で恋に落ちる印象的な場面(こちら)での挿入曲。光がきらめくようなDavid Fosterのピアノアレンジが、マンハッタンの夕暮れシーンにもぴったり。
Saturday, October 26, 2024
DeBarge - Rhythm Of The Night (1985)
Motownの兄弟グループDeBargeによる85年作。タイトル曲、聴いているだけで楽しい気持ちにさせてくれるリズミカルなパーティー・チューンのRhythm Of The Nightもよいが、このアルバムの個人的ハイライトは、David FosterとJay Graydonによる美しいバラードWho's Holding Donna Now。空間に広がりを生むようなシンセサイザーのきらきらとしたエフェクトや柔らかい音色に、エル・デバージの甘く澄んだボーカルがよく似合う。甘酸っぱくやるせない歌詞も曲とボーカルにぴったりの名曲。
Tuesday, October 22, 2024
Chicago - Chicago 17 (1984)
高校時代、洋楽好きな友人から「David Fosterというプロデューサーがすごい」と薦められて聴き漁った中の1枚。当時のメインボーカルであったPeter Ceteraは"100万ドルの声"と評される歌声の持ち主で、初めて聴いた時には透明感のある伸びやかな高音に衝撃を受けた。そこに、すでにEarth, Wind & Fireで成功していたDavid Fosterの作曲&アレンジが加わるわけだから、悪いはずがない。このアルバムはどの曲も好きだが、中でも"フォスター・サウンド"の代名詞として大人気となったYou're The Inspirationは、曲、歌詞ともに永遠の名曲。また、Hard Habit To Breakでは、Peter CeteraとBill Champlinの掛け合いが鳥肌もの。どちらも全米3位のヒットを記録している。
Sunday, October 20, 2024
Stevie Wonder - Original Musiquarium I (1982)
Disc 2
1. Higher Ground
2. Sir Duke
3. Master Blaster (Jammin')
4. Boogie On Reggae Woman
5. That Girl
6. I Wish
7. Isn't She Lovely
8. Do I Do
Stevie Wonderの黄金時代ともいえる1970年代から80年代初期の楽曲を凝縮したベストアルバム。曲数やキャリアの網羅性は他のベスト盤に譲るが、このOriginal Musiquariumは、楽曲の繋がりと全体のまとまりが抜群によい。特に1枚目のSend One Your LoveからRibbon In The Skyまでの流れは秀逸で、Stevieのロマンチックで繊細な感性が光る。Ribbon In The Skyは、ピアノの美しいアレンジとともに、愛の象徴としての「リボン」を歌った、深く情緒的なラブソング。アルバムラストを飾るファンキー・グルーヴDo I Doとあわせて、このアルバムで大好きな2曲。アルバムタイトルの通り、水族館の中で色とりどりの魚たちを眺めるように、音楽の豊かな風景をじっくりと楽しむことができる作品。
Wednesday, October 16, 2024
Lionel Richie - Same (1982)
2. Wandering Stranger
3. Tell Me
4. My Love
5. Round And Round
6. Truly
7. You Are
8. You Mean More To Me
9. Just Put Some Love In Your Heart
今年1月に、Netflix限定で、We Are The Worldのレコーディング舞台裏を描いたThe Greatest Night in Pop(邦題:ポップスが最高に輝いた夜)が配信された。その中で、作曲者であり常に中心にいたLionel Richieの存在感は大きい。黒人歌手でありながら、カントリー・ミュージックにも音楽性のルーツをもち、明るい和音進行と、柔らかく流れるようなピアノのアルペジオを効果的に用いたロマンチックで穏やかな雰囲気が彼の持ち味。このアルバムからは、デビューシングルにして全米1位&グラミー賞を獲得したTrulyがまさにそれ("head over heels"という表現はこの曲で知った!)。また、5曲目のRound And Roundも、リズミカルで伸び伸びとしたピアノが耳に残るミッドテンポのバラードで、リラックスした雰囲気が心地よい。
Thursday, October 10, 2024
Lou Pardini - Look The Other Way (1998)
Listen (Place In My Heart)
(Full Album)
前回のBobby Caldwellから"椅子ジャケ"つながりで頭に浮かんだアルバム。Lou Pardiniは、80年代にフュージョングループKoinoniaに在籍した後、90年代にはBill Champlinの後任としてロックバンドのChicagoにも在籍していたそう。その縁あって、本アルバムではBill Champlinと、TOTOのJoseph WilliamsがBacking Vocalsで参加している。CDはレアでなかなか見かけなくなってしまったが、Lou自身が作るハートウォーミングな美しいメロディー満載の和み系AORアルバム。イントロから完璧なTime Out For Love、メロディアスなピアノが印象的なPlace In My Heart、そしてどことなくStephen Bishopの名曲"It Might Be You"を思わせるTake It Awayが個人的なお気に入り。
Sunday, October 6, 2024
Bobby Caldwell - Same (1978)
2. My Flame
3. Love Won't Wait
4. Can't Say Goodbye
5. Come To Me
6. What You Won't Do For Love
7. Kalimba Song
8. Take Me Back To Then
9. Down For The Third Time
"ミスターAOR"ことBobby Caldwellのデビュー作。「イブニング・スキャンダル」という邦題の通り、黄昏時にぴったりの情感溢れるAORの定番。70年代のフィリーソウルに影響を受けたストリングスを多用した曲や、明らかにStevie Wonderに影響を受けたヴォーカルにも彼のルーツが感じられる。6曲目のWhat You Won't Do For Love(邦題「風のシルエット」)は、イントロを聞くだけで気分が高揚する色褪せない名曲。
Saturday, October 5, 2024
Seawind - Same (1980)
2. The Two Of Us
3. Love Him, Love Her
4. Everything Needs Love
5. Shout
6. Still In Love
7. Pra Vosé
8. I Need Your Love
9. Long, Long Time
ハワイ出身のSeawindによる、ジャケットの印象通りの爽やかなフュージョン/AORアルバム。ライトファンク~メロウな曲が多めでいいな、と思っていたら、プロデュースがGeorge Dukeということで納得。2曲目のThe Two Of Usは、G. Dukeらしい爽やかさの感じられるミディアムナンバー。8曲目のI Need Your Loveも個人的な一押し。タイトで歯切れのよいリズムセクションとホーンに加え、リードのPauline Wilsonによる艶のある伸びやかなボーカルを聴いていると、心が晴れやかになる。
Tuesday, October 1, 2024
Earth, Wind & Fire - I Am (1979)
Listen (After The Love Has Gone)
(Full Album)
2. Can't Let Go
3. After the Love Has Gone
4. Let Your Feelings Show
5. Boogie Wonderland
6. Star
7. Wait
8. Rock That!
9. You and I
最も成功したファンクバンドの1つ、Earth, Wind & Fireの79年作。白人プロデューサーやアレンジャーを招き入れ、70年代のファンク路線から転換したAOR寄りの作品。R&B・POP2位を獲得しグラミー賞に輝いたバラードのAfter The Love Has Goneは、作者として名を連ねるDavid Fosterの、優雅なメロディーラインとそこに華を添えるようなアレンジが特徴的で、Earth, Wind & Fireの厚みのある演奏やボーカルと見事にマッチしている。
Monday, September 23, 2024
Boz Scaggs - Silk Degrees (1976)
2. Georgia
3. Jump Street
4. What Do You Want The Girl To Do
5. Harbor Lights
6. Lowdown
7. It's Over
8. Love Me Tomorrow
9. Lido Shuffle
10. We're All Alone
Jeff Porcaro、David Hungate、David Paich等、後にTOTOで成功を収めるミュージシャン達が参加。軽く力を抜いて聞こえるようで、実はリズムセクションが物凄く緻密な仕事をしているAOR黎明期の名盤。6曲目のLowdownは完璧で、Jeff Porcaroの一糸乱れぬ正確なドラムプレイが推進力のあるグルーヴを生んでいる。この時代を代表するバラードの名曲We're All Aloneも収録。
Sunday, September 22, 2024
Michael Jackson - Thriller (1983)
2. Baby Be Mine
3. The Girl Is Mine
4. Thriller
5. Beat It
6. Billie Jean
7. Human Nature
8. P.Y.T. (Pretty Young Thing)
9. The Lady In My Life
1stシングルとなったThe Girl Is Mineでは、Paul McCartneyとのデュエットに加え、前年にグラミーを獲得したばかりの白人バンドTOTOのミュージシャン達を起用し、白人リスナー層の心を掴んだ。ゆったりとしたAOR寄りのサウンドは、key.で参加したDavid Fosterの後の作品にも影響を与えた。ダンスクラシックスのP.Y.T.もわくわくさせるような曲の展開が好きな1曲。アルバム全体の熱気を冷ますようなThe Lady In My Lifeは、前作Off The Wallでもヒット曲を提供したRod Temperton作のバラード。
Friday, September 20, 2024
The Clarke/Duke Project - Same (1981)
2. Louie Louie
3. Sweet Baby
4. I Just Want To Love You
5. Never Judge A Cover By Its Book
6. Let's Get Started
7. Winners
8. Touch And Go
9. Finding My Way
George DukeとStanley Clarkeとのコラボアルバム。個人的には80年代ブラコンのアルバムでGeorge Dukeがプロデュースしているものにはハズレがない。大人気のピアノバラードSweet Babyはシタールの音色も入って甘めのサウンドながら、George Dukeのファルセットは甘すぎず、爽やかさも感じさせる。